国際ビジネス研究
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EUの研究・イノベーション政策の概要 : Horizon2020に着目して
徳田 昭雄
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2014 年 6 巻 2 号 p. 123-137

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抄録

2014年、EUはポスト第7次フレームワーク・プログラム(2007-2013年)にあたる「Horizon2020: the Framework Programme for Research and Innovation (2014-2020)」を開始した。H2020は、欧州委員会の研究・イノベーション(Research & Innovation)政策を推進していくための資金配分プログラムである。H2020に基づいて、欧州委員会は2014年から2020年までの7年間に約800億ユーロをR&Iに投資する。この額は、従来のフレームワーク・プログラム(FP1〜FP7)で最大であり、世界で最も巨額の公的な研究ファンドになる。本稿では、(1)H2020の上位戦略にあたる「欧州2020戦略:Europe 2020 Strategy」との関係性に着目し、H2020の役割を俯瞰的に捉える。そして、(2)従来のフレームワーク・プログラムとの仕組みの違い(既存プログラムの統合、予算カテゴリーの再編)に焦点を当て、以下に示したH2020の諸特徴の把握につとめる。・部門によって棲み分けられた旧態依然とした政策の壁を越えて(=cross-cutting approach)、・社会的挑戦に対応するために異なる分野のリソースと知識を持ち寄り(=Challenge-based approach),・科学的・技術的ブレイクスルーに基づく新製品やサービスの開発だけでなく、新しいアプリケーション、継続的改善、非技術的かつ社会的イノベーションに向けて既存技術を活用していくなど幅広いイノベーションを追求する(ホリスティック・アプローチ:holistic approach)。

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© 2014 国際ビジネス研究学会
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