抄録
2009 年の BoP ビジネス元年以来、多くの日本企業が BoP ビジネスに取り組んできたが、残念ながら成功事例はごくわずかに留まっている。他方で、世界には BoP ビジネスの成功事例は着実に増加しており、その共通要因を事業の創造に活用することができれば、日本企業による BoP ビジネスの成功事例を増やすことが可能である。そこで本研究では、既に成功している 111 事例の分析から抽出した 15 のビジネスモデルを、実際に日本企業による BoP ビジネスの事業化のために用いることで、その有効性を実証した。また、その実証するプロセスを詳細に記載し分析することで、今後の研究のための研究仮説を抽出した。
研究対象であるフロムファーイーストは、「美容室向け商品の製造販売、一般向け美容商品の製造販売」を事業として推進している大阪に本社を有するベンチャー企業である。フロムファーイーストは 15 のビジネスモデルを活用することで、3 年という短期間で BoP ビジネスの事業化に成功した。
また、実証するプロセスを分析することで、「15 のビジネスモデルを活用することは事業の立ち上げの短期化に有効である」、「事業の立ち上げ段階においては活用するビジネスモデルはできる限り少なくし、パートナーも少なくすることが有効である」という二つの研究仮説を抽出することができた。