2017 年 9 巻 1-2 号 p. 35-54
本論文では戦略的提携の企業業績への効果を実証した。多国籍企業は、新規市場への進出の際に、既存パートナーとの関係を重視する繰返し提携戦略を採用するか、ローカルアクセスを重視して新規パートナーを現地で開拓するか、という「パートナー選択のジレンマ」に直面する。本研究では、火力発電インフラ産業における国際的提携データを対象にして、傾向スコアマッチング法による共変量調整を用いて、重回帰分析を行った。実証分析の結果、繰返し提携の重要性が明らかになった。また、火力発電インフラ産業では、ローカルアクセスの確保よりも既存パートナーとの関係を重視する繰返し提携戦略の効果が大きいことが明らかになった。