2020 年 21 巻 1 号 p. 39-52
本研究の目的は,大学のキャリア教育科目に応用したキャリア構成インタビューの有効性を明らかにすることであった。具体的には,演習形式のキャリア構成インタビューを体験した学生の自由記述から思考と行為のプロセスを探り,「主観的意味を創出するプロセスの行為=内省活動」が行われていることを検証した。キャリア構成インタビューで見出す人生のテーマや意味は,本来ならば「文章として表現される」ものであり,その生成された文章の意味を分類・整理するのが一般的である。通常のテキストマイニング分析では,単語を単位に分割処理するため,文脈に依存した意味は消滅してしまうことが多い。
本稿のオリジナリティとして,文章全体から主観的意味の創出を確認する方法ではなく,「主観的意味を創出するプロセスの行為=内省活動」を示す語として「考える」「気づく」「感じる」「話す」「知る」「振り返る」「聴く」「書く」を学生の自由記述から抽出し,テキストマイニング分析を行った。分析の結果,演習形式のキャリア構成インタビューにおいて「主観的意味を創出するプロセスの行為=内省活動」が行われていることが明らかになり,教育への応用の有効性が示唆された。また,テキストマイニングを用いた新たな解析法の可能性が見いだされたといえる。