国際保健医療
Online ISSN : 2436-7559
Print ISSN : 0917-6543
原著
日本語によるコミュニケーションが困難な外国人妊産婦の周産期医療上の問題点と支援に関する研究-一医療機関における12年間の分娩事例の分析より-
井上 千尋松井 三明李 節子中村 安秀箕浦 茂樹牛島 廣治
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2006 年 21 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

本研究は、東京都心の医療機関における、1990年から2001年まで12年間の外国人分娩事例のうち、日本語によるコミュニケーションが困難な事例について検討することにより、言語の問題に伴う在日外国人の周産期医療上の課題を明らかにし、その対策について考察した。
日本語によるコミュニケーションが困難なことにより、医療従事者と妊産婦との適切な意思伝達の阻害、保健・医療・福祉に関する情報不足、の2点が特有の問題として挙げられた。特に意思伝達の阻害は、病歴や自覚症状の確認困難、相互信頼関係形成と精神的支援の阻害、医療従事者の負担の増大を引き起こし、さらにインフォームドコンセントに基づく医療サービス提供の妨げになっていた。
外国人妊産婦に対して、日本人と同じようにインフォームドコンセントに基づいた医療を提供するには、医療通訳制度を整えることが急務の課題であると考えられた。

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© 2006 日本国際保健医療学会
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