抄録
背景
太平洋諸島は世界で最も肥満と糖尿病の有病率が高い地域のひとつである。マーシャル諸島共和国(RMI)は北緯4°から18°、東経160°から174°に位置するミクロネシア人の独立国である。過去に太平洋諸島の住民の糖尿病に関する報告は幾つかある、しかし、RMIの首都Majuroにおける糖尿病の報告は未だ無い。RMIにおいても糖尿病と肥満は深刻な問題と認識されているが、実態を把握できないでいる現状がある。
目的
Majuroにおける糖尿病と肥満の実態の調査、および有病率に関する初歩的研究。
方法
Majuroで行った甲状腺癌検診受診者のうち850人に対してBMIおよびHbA1cの測定を行った。HbA1c 6.5%以上を糖尿病、BMI 30以上を肥満として扱った。有病率の年齢調整は1999年RMI国勢調査の人口に基づいて行った。標準化はSegiの世界人口を用いた。
結果
Majuroにおける糖尿病の年齢調整有病率は20歳以上で22.1%(男性27.1%、女性20.5%)であった。標準化有病率は31.0%(男性35.4%、女性29.4%)であった。
結語
RMIにおいても、他の熱帯諸島と同様に糖尿病の有病率は高率であることが示唆された。更にランダマイズされた集団での疫学的研究が必要である。