国際保健医療
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特集
在住外国人の健康と地域社会
中村 裕
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2008 年 23 巻 1 号 p. 9-12

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抄録
 岐阜県可児市は総人口10万人の小さなまちで、近年日系ブラジル人、フィリピン人を主とする外国人が増大し、今では総人口の7%を占める外国人集住都市となっている。
 このような外国人集住都市ではどこも同じような課題を抱えている。いわゆる出稼ぎとしてきた人々の就労環境や、連れて来た子どもたちの教育に関しての処遇はきわめて不十分であり、地域の負担となり格差の拡大にもなっている。
 これらの日系人の多くが長期定住化・永住していくと予想される。将来の地域を支えるこれらの外国人が健康で安定した暮らしが出来なければ、将来の地域も健康なまちにはならない。特に将来を担う子どもの教育とそれを支える保護者が健康を損なった場合の生活は大きく損なわれて来る。そのことがもたらす地域社会の「健康」はやがて損なわれてくることに成る。そこで、可児市では、在住外国人も人任せにするのでなく、自ら市民として、地域の生活者として、自らを守り、出来ることを行い、協働・共生の活動に参画することによって、自立・健康・喜び・希望を持つような活動をしていくことが必要と言うことから、外国籍市民主導の「外国籍市民会議」を立ちあげ、地域社会を「健康なまちづくり」に寄与する活動を創めて来ている。
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© 2008 日本国際保健医療学会
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