国際保健医療
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在日中国人留学生の保健行動に関する実態調査
久米 絢弓西川 まり子大久保 一郎
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2010 年 25 巻 3 号 p. 171-179

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抄録
目的
日本への留学生数は年々増加し、特に中国人留学生がその多くを占める。保健医療問題やその要因には異なる文化的背景が指摘されているが、保健行動に関与する要因は明らかにされているものは少ない。そこで本研究では、在日中国人留学生の保健行動の実態を明らかにすることを目的とした。
対象と方法
自記式質問紙による調査研究。対象は中国人留学生と同大学に在籍する日本人大学生とした。質問の内容は、属性、健康観、病気観、保健に関する信念、身体的精神的健康度、ソーシャルサポート、保健行動、健康習慣とした。
結果
回収率は、留学生35.7%(107/300)、日本人大学生47.7%(143/300)であった。対象者の平均年齢は留学生24.5歳で滞在期間は平均3年であり、保健行動は、日本人大学生より留学生の方が高値を示していた。さらにソーシャルサポートは、友人、両親、知人、両親以外の家族であり学校関係者は少なかった。また留学生の健康生活習慣は性別が関与し、女性のほうが良い健康習慣をとっていた。
結語
1.留学生は健康に関する意識は高く良好な健康状態を保つための保健行動を実施していた。
2.留学生は異文化の中で生活しており健康に関する意識や関心が高いが十分なソーシャルサポートが得られにくい環境にある。今後身近な存在のソーシャルサポートが重要である。
3.留学生の健康習慣には性別が関与している。
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© 2010 日本国際保健医療学会
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