国際保健医療
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看護キャリアラダーの活用に関する考察
—JICAインドネシア共和国看護実践能力強化プロジェクトの事例から—
藤並 祐馬
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2016 年 31 巻 2 号 p. 137-148

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抄録

  本項では、著者が専門家として携わった日本とインドネシアのODAにおける看護実践能力強化プロジェクト(以下、プロジェクト)の2012年12月から2015年12月までの経験が提示され、そのプロジェクトにおける経験や結果を基にラダーの活用法について議論が行われている。
  プロジェクトでは、インドネシアにおいてラダーの強化とラダーを応用したカリキュラム作りを通した看護師の継続研修を強化する取り組みが行われている。その取り組みを通して、インドネシアではラダーをカリキュラム作成、研修の計画立案と運営、看護師の職務権限の付与、効果的な人材配置などに応用していることが明らかとなった。また、近年組織運営において内部統制を強化する重要性が認識されるようになっているが、現在インドネシアで強化が進められているラダーの形にいくつかの要素を足すことで、ラダーが内部統制としても応用可能である事が明らかとなった。
  現在日本でも多くの病院がラダーを導入しているが、その多くが人材育成を目的としている。一方で、筆者は文献研究やプロジェクト活動の結果から、①一貫性のある看護管理、②病院と看護師のコミュニケーションツール、③公平・公正な評価、④研修内容の明確化と効果的な研修計画、⑤病院と外部とのコミュニケーションツール、⑥職務権限付与の根拠、⑦内部統制などにも活用することを提案した。

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© 2016 日本国際保健医療学会
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