国際保健医療
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研究報告
在沖高齢外国人の異文化間介護を取り巻く現状と課題 ─外国人(被介護者)へのインタビュー調査を通して─
松本 美智代大城 凌子
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2020 年 35 巻 2 号 p. 101-111

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抄録

目的

  沖縄に在住する高齢外国人(以下、在沖高齢外国人)の異文化間介護を取り巻く現状を明らかにし、課題を抽出する。

方法

  質的記述的研究である。研究参加に同意が得られた在沖高齢外国人6人に半構造化面接調査を行った。逐語録を作成し介護に関する内容を抽出後、一意味単位でコード化し、内容の類似性を検討しながら再編統合を繰り返してテーマを抽出した。

結果

  介護に関する語りとして、126のコードが抽出され、61のサブカテゴリー、17のカテゴリーが生成され、【症状のコントロールや治療の不安に悩まされた体験】【納得できる医療を受ける為の経済的負担】【言いたいことを伝える努力】【言葉が伝わる身近な人の存在による安心感】【言葉の壁を越えて伝わる愛情の感受】【自分にあった生活を自分の意思で選択できる異文化環境】【安定した在宅生活を支えている介護サービスへの感謝】【居心地のいい生活環境と沖縄への愛着】【信仰に支えられた生活と、埋葬への希望】という、9つのテーマを抽出した。これらが在沖高齢外国人の異文化間介護を取り巻く現状であると考える。

結論

  以上の結果から、異文化間介護をめぐる課題は、①当事者視点でのサービスを再構築し、②文化を共有するコミュニティを活用しながら、③異文化理解を共有できる環境を醸成することであり、そのためには、④ケアワーカーを支援し、在沖高齢外国人の、⑤信仰に支えられた看取りへの支援の必要性が示唆された。

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© 2020 日本国際保健医療学会
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