2018 年 20 巻 3 号 p. 1-8
これまで世代間交流の多くは、援助を必要とするネガティブな存在である高齢者への若い人からの一方的な支援と捉えられてきた。しかし最近、ドイツを中心としたヨーロッパにおいて、高齢者と若者双方にとってプラスとなるギブアンドテイクの関係をつくりだすような新たな世代間交流が現れてきている。そしてそれが、多文化の人を含めた異なった年齢層の人びとの共生・社会統合を促進し、まちづくりにも積極的な役割を果たしている。本稿は、介護施設における個人史・演劇・芸術領域でそのような新たな世代間交流の試みに関する報告書の紹介である。