社会言語科学
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中国人の言語評価 : 北京・天津・上海・杭州の大学生を対象に
宮本 大輔
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2009 年 11 巻 2 号 p. 55-68

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抄録

本稿は,出身地の異なる4地点601名のインフォーマントを対象とした中国人の言語評価に関する研究である。本研究の目的は(1)中国人の普通話及び地方方言に対する評価及びイメージはどのようなものか,(2)言語イメージの構築の影響を及ぼす要素は何か,(3)各評価項目間に潜在する共通因子は何かを明らかにすることにある.これらの問題を究明することにより,中国における普通話と方言の共存の実態を解明する.分析の結果,以下のことが明らかとなった.各調査地における普通話の高い評価には,普通話普及政策が貢献している.上海人が有する上海語のイメージと他の地域のインフォーマントが持つ上海語のイメージとの間には,明らかな差が存在している.言語評価にはその言語が母語として話される地域が持つ経済的地位,文化的背景や歴史的背景,心理的要因が密接に関わっている.

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© 2009 社会言語科学会
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