社会言語科学
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在日コリアン生徒の属性と使用言語の関係 : 韓国学校でのアンケート調査をもとにして(<特集>多言語社会日本の言語接触に関する実証研究)
生越 直樹
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2014 年 17 巻 1 号 p. 4-19

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抄録

本稿は,在日コリアンの言語使用について,話者の属性と使用言語の関係,および属性相互の関係を探ろうとするものである.従来の研究で,在日コリアンだけでなく,他の在日外国人においても,話者の持つ様々な属性が日常の言語使用に影響を与えていることが明らかになっている.しかし,属性相互がどのように関係しているか,場面や相手などによって影響する属性は異なるのか,など詳しい分析はなされていない.本稿では,韓国学校A学校で行ったアンケート調査の結果をもとに,生徒の持つ属性と使用言語の関係を分析してみた.その結果,使用言語に影響する属性として,本人の出生地,親の出生地,来日時期,入学時期,滞日期間があり,それらの属性は本人の出生地を上位として,階層的な関係にあることが明らかになった.さらに,その結果を別の韓国学校B学院での調査と比較したところ,同じ傾向が見られた.ただし,学校というドメインが関係する場面・相手では,本人の出生地より学校の中心言語のほうが生徒の使用言語に大きな影響を与えることがわかった.

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© 2014 社会言語科学会
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