社会言語科学
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対話における文末の非ノダ文・ノダ文が示す話者の伝達態度 : 日本語母語話者印象評定の量的調査から
京野 千穂
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2014 年 17 巻 1 号 p. 114-127

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抄録

対話における文末のノダ文及び非ノダ文に対し,母語話者印象評定を実施し量的分析を行った.ノダ文の複数の用法の中から,類似しない「やわらげ」,「強調」及び「説明」を取り上げ,それらに共通した母語話者の印象を検証した.その結果,ノダ文に共通していたのは,間き手との距離の近さ,親しみ,熱心さ及び感情を重視した伝達態度であった,一方,非ノダ文は,正確さを重視し,礼儀正しい印象を与えるが,親しみがなく,冷静で距離感があることが一貫していた.更に,日本語の非ノダ文は,聞き手と距離を保ち情報の正確さを優先する伝達態度が非常に強いことが明らかになった.非ノダ文の強い独話的特徴により,対話ではノダ文が選択される傾向があることを論じた.一方,ノダ文が認識強要を迫る場面では,非ノダ文に強い好感を持つことが明らかになった.非ノダ文は聞き手との距離感を示すが,聞き手の私的領域の侵害を回避するものでもあることを論じた.

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© 2014 社会言語科学会
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