社会言語科学
Online ISSN : 2189-7239
Print ISSN : 1344-3909
ISSN-L : 1344-3909
研究論文
確認要求に用いられる感動詞的用法の「なに」―認識的スタンス標識の相互行為上の働き―
遠藤 智子横森 大輔林 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 20 巻 1 号 p. 100-114

詳細
抄録

一般的には疑問代名詞として分類される「なに」には,極性疑問文の中で感動詞的に使われる用法がある.本研究は自然な日常会話におけるそのような「なに」について,認識的スタンスの標識として記述を行い,その相互行為上の働きについて論じる.まず,極性疑問文における「なに」は,会話の相手が明示的には述べていないことに対して話し手が確認を要求する際に用いられる.そのような環境における「なに」は,相手に確認を求める内容が,先行する会話の中で得た手がかり等の不十分な証拠に基づいて推論を行うことで得られたものであり,その正しさについて強い確信を持たないという話し手の認識的スタンスを標識するものである.さらに,「なに」は発話が行われる個々の文脈に応じて,確認内容に対する驚きおよび否定的態度等の情動表出や,からかいまたは話題転換等の行為を行う資源としても働く.

著者関連情報
© 2017 社会言語科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top