日本政府は2018年12月「経済財政運営と改革の基本方針」に基づき,2019年度より新たな在留資格を創設し外国人労働者を積極的に受け入れることを決定した.留学生を含む外国人労働者の在留資格の認定に,日本語能力の判定が大きく関わると思われるが,日本で働くためにどのような日本語能力が必要と判断されるのか,またその判断を支える考え方はどのようなものかはまだ十分に議論されていない.本稿は,移民受け入れ国で2000年以降導入された「市民権テスト」の実態とそれにともなう議論を検討し,それを踏まえた上で,国の政策と外国人労働者に対する日本語教育がどのような関係にあるのかを明らかにし,どのような日本語教育実践が必要かを提案する.