異文化接触の経験がほとんどなかった地域社会の人々が,交換留学生と継続的に密度の濃い交流を経験することで,どのような変化や学びがあったかについて,筆者の実践活動を振り返りながら検討する.14年間の交流活動の中から,行政職員を対象とした事例1と,地域ボランティア住民を対象とした事例2を取り上げる.事例1では,共にイベントを準備する中で,コミュニケーション力,エンパシー,留学生との関係性の構築,留学生への対応方法の変化,課題の認識などの学びが見られ,事例2では,継続的な交流により異文化接触への拒絶や恐れが緩和され,積極的に接触を図ろうとする変化が見られるなど,交流が日常の「共生」への第一歩となりうることが示された.