本研究では,日中初対面接触場面において,母語話者と非母語話者が互いに積極的に会話に参加し,理解を深めていくためにどのような参加調整を行っているのかについて,二者会話①②と三者会話③の3つのデータをもとに比較分析した.特に話題開始の発話に焦点を当て,大話題,中話題,小話題の話題開始者と話題開始の発話の発話機能,話題保持者,話題展開の仕方を分析することにより,会話参加者が言語ホスト・ゲストとして,どのような参加調整ストラテジーを使用しているのか,双方の歩み寄りの姿勢について考察した.その結果,二者会話①②では母語話者によって参加調整の仕方に違いが見られたものの,母語話者と非母語話者が互いに参加調整を行っている様子が見られ,非母語話者の理解や参加も高かった.しかし,三者会話③では母語話者の参加調整への意識が薄れ,非母語話者の理解や参加が低くなる話題もあった.このことから,二者会話だけでなく,三者会話でも母語話者と非母語話者の参加調整がより必要であることが明らかになった.また,母語話者には見られたものの,非母語話者には見られなかった話題開始の発話機能があったことから,日本語教育への提言も行った.