社会言語科学
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ショートノート
遠隔コミュニケーションの時間的なずれは相互行為分析にどのような影響を与えうるか
細馬 宏通村岡 春視
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2022 年 25 巻 1 号 p. 230-237

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抄録

遠隔コミュニケーションの相互行為分析においては,レイテンシ(遅延)をどのように扱うかが重要となる.本論では,参加者全員を機器なしに同時に俯瞰する絶対時系列と,各参加者から見た相対時系列とを区別し,レイテンシが各参加者にどのような影響を与えるかを,単発のできごとのずれ,同期のずれ,参加者間で認知される発話間沈黙の相違,複数の聞き手が次の話し手として同時に発話を開始する場合のオーバーラップ,聞き手による次の話し手選択と話し手による継続とのオーバーラップの場合に分けて図式化した.また,レイテンシを伴うコミュニケーションの収録方法,および,既成の動画データを分析する際に相対時系列を再現する方法について述べ,その具体的な手続きを簡単な事例分析で例示した.

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© 2022 社会言語科学会
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