本研究は,日本人学生と留学生のディスカッションでの国の事情についての質問応答連鎖において,応答者が応答する最中に第三者の介入を引き込む,という現象を分析した.そして,その引き込みがいかにしてなされているのか,またその引き込みにより参与者らが何を達成しているのか,記述することを目的とした.結果として,応答者は自身の応答を産出しながら第三者へと視線を移動させることや,知識状態への期待,投射可能性などを資源とし,第三者からの介入を引き込んでいることが記述できた.産出された介入としては,産出されつつある応答に対する承認の付与,その応答の続きの産出,独立した応答の産出,という三種類を観察することができた.またそうした介入の引き込みをすることで,応答者は,質問に集団の水準で答えるということをしていた.そしてそのようにして知識を共有していることを実演することにより,局所的に異文化性が達成されていることが記述された.