社会言語科学
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研究論文
論文の個別指導における中途終了型発話―相互行為を促進するための手段として―
田崎 敦子
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2026 年 28 巻 2 号 p. 96-110

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抄録

本研究は,論文の個別指導場面における,最後まで言い切らずに終了する「中途終了型発話」の働きを明らかにするために,指導教員と学生に使用された形式と機能を分析した.その結果,指導教員は中途終了型発話の機能を「情報・確認要求」「情報提示」「意見表明」の順に多用し,体言で終了する形式で情報の迅速な確認や提示を行っていた.また,接続助詞で終えることにより学生への配慮を示す場面も見られた.一方,学生は「情報提示」「意見表明」「情報・確認要求」の順に多く使用し,主に接続助詞や格助詞で終了する形式で,自身の情報や意見に対する確信の欠如や質問時の躊躇,指導教員への待遇的配慮を示していた.さらに,体言で終了する形式を用いて,指導教員が述べた用語や説明内容,質問に対する自身の回答を簡潔に確認していた.また,中途終了型発話は指導教員と学生による共同発話を誘発し,議論への協働的参加を促すことにより相互行為の促進や両者の距離の接近にも寄与していた.以上の結果から,論文の個別指導場面において中途終了型発話は,指導教員と学生それぞれの立場から用いられ,研究の質の向上に向けた議論における相互行為を円滑に進める手段であることが明らかになった.これらの知見は,大学・大学院で学ぶ留学生を対象とした日本語教育にも示唆を与えるものである.

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