抄録
多言語コミュニティにおけるコード・スイッチング(CS)のパターンは,言語接触の状況と大きな関わりがある.多言語コミュニティの日常語は二言語の能力が高まるにつれて,第一言語を基盤とした挿入型CSから,二言語がほぼ均等な役割を果たす交替型CSに移行すると言われている.本稿では,韓国系民族学校の高校生において来日時期による日本語と韓国語の言語能力およびその他の属性が,言語選択とCSにどのような影響を反ぼしているのかについて,談話資料をもとにした事例研究を通じて調査した.その結果,来日時期の早いグループの対話では交替型CS,来日時期の遅いグループの対話では韓国語を基盤とした挿入型CSの特徴が顕著に見られることが明らかになった.