抄録
本研究は使用言語や異性の性的魅力に左右されない同国人同士,同性同士の母国語によるデータを日本人女子(JF)7組14名,日本人男子(JM)9組18名,韓国人女子(KF)12組24名,韓国人男子(KM)14組28名から収集し,初対面の話題導入に用いられる質問と自己開示および疑問詞の頻度における推移を,日韓共通の40分間の中で比較分析した.その結果,韓国人グループでは性別による差異が大きく,特に(1)質問による話題導入と疑問詞の頻度では,0分から5分の時間帯でKFが群を抜いて最も高く,5分から10分になると急激に落ち,(2)自己開示による話題導入では,KMが0分から5分までの時間帯では最高値を見せるが,5分から10分の時間帯では一転して急激に落ちその後も30分まで最少値を示す,ことが明らかになった.一方,日本人グループでは性別による差異が少なく,(3)JFが前半5分から20分において自己開示による話題導入が最も高く,(4)JMの0分から5分の話題導入の質問形式に中途終了疑問文が多い,ことが明らかになった.以上の結果から4つのグループそれぞれにおいて特徴的なポライトネス・ストラテジーを考察した.