2024 年 31 巻 2 号 p. 201-210
本研究の目的は,縦断的調査の結果分析を通じて,COVID-19 がもたらす社会的変化が,中小企業勤務者の健康状態に及ぼす影響,特に性差による影響の違いや,ワーク・エンゲイジメント(WE)との関連を明確にすることであった。パンデミック前(2020 年 2 月)及び第 1 回緊急事態宣言解除後(2020 年 8 月),第 4 回緊急事態宣言発令中(2021 年 8 月)と 3 回の縦断的調査を実施し,継時的に回答の得られた 264 名を分析対象とした。
検討の結果,性差による違いについてはパンデミックとは関係なく,中小企業においては概ね女性より男性のストレスが大きいことが示された。ストレス原因のうち「技能の活用」については,役職を持つ群のストレスがパンデミック後に高まったまま維持されており,労働環境の変化に加え,管理・評価の方法を変更せざるを得なかったためではないかと考えられる。WE についてはパンデミックによる影響は見出せず,先行研究と同様の結果となった。一方,睡眠評価,運動及び飲酒量については徐々に悪化・増加していることから,今後の経過に注意を払う必要性が示された。睡眠・飲酒等についてはリモートワークや生活習慣の変化も影響すると考えられるため,今後は勤務形態や生活習慣の変化についての項目も加えて検討する必要がある。