産業ストレス研究
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【教育講演】
デジタル時代における産業ストレス対策と情報リテラシー:
AI・SNS活用の課題と展望
坂本 昌彦
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2025 年 32 巻 4 号 p. 273-278

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抄録

現代社会において,職業上のメンタルヘルスは重要な公衆衛生問題となっている。ストレス関連障害の増加は,雇用構造の変化や新型コロナウイルスのパンデミックによって悪化し,欠勤の増加,生産性の低下,メンタルヘルス介入の必要性の高まりにつながっている。同時に,デジタル化が職場を変革し,効率性とともにコミュニケーションの断絶や情報過多といった新たなストレス要因をもたらしている。SNS(Social Networking Service)や AI(Artificial Intelligence)によって生成された健康に関する誤情報の拡散は,健康情報リテラシーの重要性と意思決定における認知バイアスへの意識を強調している。AI や健康アプリのようなツールは,情報に基づいた行動を支援し得るが,慎重な導入と評価が求められる。実証的な結果は,対話的な支援と組み合わせることで,デジタルツールがストレス管理の成果を高める可能性を示している。さらに,効果的な健康コミュニケーションは,明確さ,共感,タイミングを優先し,健康リスクが起こりうる可能性と,そのリスクの重大性の認識の両方に対応するべきである。産業保健を進展させるには,デジタル包摂,積極的な教育(例:プリバンキング),および人間と技術を統合したハイブリッドアプローチを統合し,平等で信頼でき,関与を促す情報提供を実現することが求められる。

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© 日本産業ストレス学会
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