抄録
種子植物の葉などに含まれる生体鉱物として、Ca-シュウ酸塩水和物の whewellite と weddellite、それに opal がよく知られている。われわれは今回、粉末 X 線回折によりコケ植物から初めての例と思われる含水アルミノケイ酸塩である沸石を見いだした。回折パターンのピークは位置、強度とも quartz のそれと大変紛らわしい。quartzの結晶が植物内で生成するとは考えにくく、沸石なら低温でも生成可能であり、水を含んでいることから gismondine, Ca2Al4Si4O16・9H2O であると考えた。弱いながらも quartz と重ならない gismondine 独自のピークが見いだせることや他の点から判断して、gismondine であると断定した。