日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: R4-12
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R4:鉱物の記載・分析
山口県萩市笠山火山の高温酸化を受けた溶岩及びスコリア中のかんらん石のFeの酸化数と分布
*江島 輝美赤坂 正秀永尾 隆志
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抄録

山口県萩市笠山火山中の高温酸化したスコリアと溶岩中のかんらん石におけるFeの酸化数と分布を研究した。 スコリア丘の外側斜面から赤褐色化した黒色スコリアを,スコリア丘火口内部から赤褐色スコリアを,海岸の露頭より赤褐色化した黒色安山岩溶岩および赤褐色安山岩溶岩を採集した。 赤褐色スコリアにおけるかんらん石のFo成分は91mol%,赤褐色化した黒色スコリア及び黒色スコリアではそれぞれFo 83-85およびFo 79-81(mol%)であった。FeLβ/FeLα強度比による赤褐色化した黒色スコリアと黒色スコリアのかんらん石におけるFe2+:Fe3+ 比はそれぞれFe2+:Fe3+= 92-93: 8-7、Fe2+:Fe3+= 93-98:7-1であった。赤褐色化した黒色溶岩および黒色溶岩のかんらん石におけるFo成分はそれぞれ79-80および73-80,Fe2+:Fe3+比はそれぞれ92-99:8-1, 93-99:7-1であった。 X線リートベルト法による赤褐色化した黒色スコリア中のかんらん石のM1席とM2席のMgとFeの席占有率はMg(M1)=0.84, Fe(M1)=0.17, Mg(M2)=0.83, Fe(M2)=0.17であった。同スコリアのかんらん石の57Feメスバウアースペクトルは, M1,M2におけるFe2+,M2のFe3+,およびライフーナイトのM2のFe3+に帰属されるダブレットからなり,Fe2+(M1,M2):Fe3+(M2)比は69:31であった。これらの結果から求めたかんらん石の化学式は [(Mg0.835Fe2+0.165)M1(Mg2+0.830Fe2+0.053Fe3+0.117)M2]Σ2.000Si1.000O4である。 Fe3+の存在による空席が存在すると考えられる。かんらん石中にライフーナイトの短周期構造が存在する可能性が高い。

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