抄録
東太平洋海嶺付近のアセノスフェア最上部で観測される高異方性の電気伝導度を説明するために、変形場におけるモデル部分溶融カンラン岩の電気伝導度測定を行った。測定試料のモデルカンラン岩は、鉄を含まないフォルステライトと玄武岩と炭酸ナトリウムの混合物である。測定は、変形装置付キュービックアンビルプレスとソラートロン社製1260インピーダンスアナライザを用いて、1600K ・2GPaの温度圧力条件と6×10-7 /sと2×10-6 /sの歪速度で行った。その結果、せん断方向の電気伝導度はその垂直方向と比較して、一桁以上高電気伝導度であることがわかった。また、その異方性の大きさは歪速度によらないことがわかった。以上の結果により、東太平洋海嶺の電気伝導度の異方性は、部分溶融カンラン岩による可能性があることがわかる。