日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: S3-01
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S3:大規模珪長質マグマシステム
八甲田-十和田カルデラ群における火山活動時空変遷とその要因
*工藤 崇
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抄録
八甲田-十和田カルデラ群は東北日本弧を代表する後期新世代カルデラ群の1つである.本カルデラ群の活動は3.5 Maに最も背弧側のカルデラで開始した.本カルデラ群以前の火山活動はフロント側では5 Ma,背弧側では7 Maまで遡るため,両者の間には長期の活動休止期が想定される.この休止期によって冷えた地殻がマグマの結晶分化と低溶融度地殻メルトの同化を促進した結果, 初期では地殻成分の寄与の大きな高カリウム系列珪長質マグマが生成されたと考えられる.その後2 Ma前後には活動領域がフロント側へと拡大し,カルデラ形成と成層火山群が共存する活動が開始した.その後,徐々に背弧側の火山活動が止むと,0.9 Ma以降はフロント側に活動が限定された.全体を通して見ると主な活動領域は背弧側から徐々にフロント側へと移動する傾向がある.本カルデラ群の火山活動時空変遷の要因は,Honda and Yoshida (2005) によるマントルウェッジの小規模対流モデルにより説明できる可能性が高いと考えられる.
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© 2008 日本鉱物科学会
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