抄録
先行する大カルデラ火山に関連していると考えられる、東北日本中部域の3つの成層火山;青麻、高松、月山の珪長質マグマの成因を検討した。3火山とも安山岩主体であり、岩石的解析の結果、それらは玄武岩質とデイサイト質の2端成分マグマの混合によってもたらされたと考えられる。苦鉄質端成分マグマのK2Oなどの液相濃集元素量は青麻、高松、月山と火山フロントから背弧側に向かって高くなり、それに同調して珪長質端成分マグマのそれも高くなる。Sr同位体比は、全岩SiO2量によらず各火山内で一定の値を示す。これらの特徴は両端成分マグマが同源であることを示している。微量元素組成のモデル計算を行ったところ、珪長質端成分は苦鉄質端成分マグマからの結晶分化作用では導きえず、同火山の苦鉄質端成分マグマが地殻内で一旦固結し、角閃石斑レイ岩を溶け残り岩とする再溶融によって生成可能であるとの結果が得られた。