抄録
地殻内マグマ溜まりでの冷却に伴う主要なマグマの分化メカニズムとして、結晶核形成・成長・重力分離による均一分化と組成対流を伴った固液境界層分化が考えられる(Jaupart and Tait, 1995; Marsh, 1996)。どちらのメカニズムがどのような条件(マグマの組成、圧力、マグマ溜まりの大きさ等)で支配的かということに関する統一的な理解にはまだ至っていない。本研究では厚さ約100mの中規模ドレライト岩体を対象に、マグマ溜まりの冷却に伴う分化メカニズムの解明を試みる。
本研究では山形県に分布する青沢ドレライトを対象とする。青沢ドレライト(Fujii, 1974)は日本海の拡大時期の火成活動で、中新世の泥岩中に貫入した厚さ数10m~100数十mの板状貫入岩体群である。これらの岩体のうち、本研究では平板性の良い厚さ約100mの岩体の解析をおこなった。