日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: R2-01
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R2:深成岩及び変成岩
ザクロ石の形態と成長量測定
*西上原 航鳥海 光弘
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抄録

 ザクロ石は広い変成条件で安定な鉱物であり、変成岩を特徴づける鉱物である。高圧変成岩に含まれるザクロ石は化学組成累帯構造を示し、経験した温度-圧力条件を反映して形成される。そのため、累帯構造を分析することにより、変成岩が被った温度・圧力条件を推定する研究が行われてきた。  本研究では、変成岩の形成条件を推定する上で欠かすことができないザクロ石について形態学的視点から考察した。結晶形の多様性は、結晶面の相対成長速度によって決まる。形態は成長環境を反映するため、鉱物の成長速度や変成作用中の物理化学的変化(もしくはその変化速度)を説明する有用なツールとなりうる。かたちを定量的に表すことができれば、岩石形成の理解の手助けとなる。  Kretz(1973)の方法により,緑簾石-角閃岩のザクロ石を熱抽出した.最大粒径は10mmであり,{110}結晶成長面を保持しているが,偏平形を呈している.これらのことより異方的な成長が示唆される.アスペクト比が1.83であり,形態学的解析より,小さな面の相対成長速度は1.29であることが算出される.  累帯構造の形変化から「hkl区分図」を描くことができ,正確な成長量を見積もるためには等しいミラー指数をもつ領域で測定を行わなければいけないことが分かる.これはどの鉱物でも同様のことが言え,成長量を求めるときには考慮しなければいけないことである.

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© 2008 日本鉱物科学会
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