日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2009年年会
セッションID: S2-07
会議情報

S2:月の初期分化・内部進化
高温高圧実験による月マグマオーシャン組成への制約
*酒井 理紗久城 育夫永原 裕子小澤 一仁橘 省吾
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
月地殻はマグマオーシャンの分化過程で斜長石が浮上することで形成されたと考えられているが,マグマオーシャンの化学的・物理的状態について,統一的な見解は未だ得られていない.今回我々は,斜長石析出時のマグマの密度・粘性を決定する実験を行い,マグマオーシャン中で斜長石が浮上し,地殻を形成できる条件を液と結晶の密度差、対流条件での結晶分離の可能性について検討した. 初期マグマオーシャンとして,地球マントルに等しい組成,及び鉄以外の主要元素を太陽系存在度としてFeO=4, 6, 13 wt%とする組成を想定する.MELTSを用いて分化過程を熱力学計算し,斜長石析出時のマグマ組成を求めた.この組成を実験の出発物質とし,斜長石の浮き沈みの確認と各組成のマグマの粘性を決定した.今回の結果から,月の初期マグマオーシャンのFeO量は地球のマントル組成と同等かそれ以上であった可能性が示唆される.
著者関連情報
© 2009 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top