本研究では、トンネル地質調査のボーリングコアを試料として、岩石コアの観察と区分、重金属類の分析(公定法によるヒ素の含有量・溶出試験)及びXRDを行い、溶出水のpHと沸石類の量比に応じた溶出特性を検討した。検討の結果、1)ヒ素の含有量と溶出量に相関性が認められたが、含有量に比し溶出量が多いタイプと、含有量が比較的多いが溶出量は土壌溶出量基準値を超えないタイプを確認した。2)溶出水のpHは、8-10程度とアルカリ性で、含有量が少なく溶出量が高いタイプと、7-9と中-アルカリ性で含有量が少なく溶出量が高いタイプを確認した。3)XRDによる沸石類の回折強度とヒ素の溶出量には負の相関が認められた。また、沸石類の含有が多くpHが8以上の場合に溶出量は低く、沸石類の含有がないか少なくpHが8未満の場合に溶出量が高いことを確認した。