地殻内マグマ溜まり中央部で核形成・成長した結晶の分離が関与する均一分化と周縁冷却ゾーンでの結晶化により生じる分化液の移動が関与する境界層分化が主要な地殻内マグマ溜まりでの分化機構として提案されてきた(Jaupart and Tait, 1995; Marsh, 1996)。しかし、どちらの分化機構が実際により効果的に働くのか、またどのような要因がそれぞれの機構の実現を支配しているのかについて統一的な理解には至っていない。板状貫入岩体は上下の急冷縁から最終固結地点までの連続的な化学組成・微細構造の1次元空間変化としてマグマの分化現象を記録しているので、その詳細な解析から実際に起こった物理・化学過程の時間発展を明らかに出来る可能性が大きい。
