抄録
2006年にPronovostらは,catheter-related blood stream infection(CRBSI)の予防法として5つの対策であるバンドルケアを発表した。これは,(1)カテーテル挿入前に手指消毒を行うこと,(2)central venous catheter(CVC)挿入はmaximal sterile barrier precautions(MSBP)で行うこと,(3)CVC挿入前に2%クロルヘキシジンで皮膚消毒を行うこと,(4)CVC穿刺部位に大腿静脈は避けること,(5)不要になったカテーテルは速やかに抜去することである。この対策は,現在全米で強く推進されているところである。しかし,我々が日本で外科入院患者を対象に行った無作為比較試験では,MSBPの有用性を見出すことはできなかった。CRBSI対策のエビデンスは混沌としており,確固たるゴールド・スタンダードが確立している状況ではない。本稿では,これらCRBSIをめぐるエビデンスについて,多方面から解説する。