抄録
近年の岩石学的研究により、南インドグラニュライト地塊のMB北部およびPCSZ地域は、初期の高圧変成作用とその後の超高温変成作用を被ったことが分かっている。高圧変成作用の証拠として、ざくろ石中に含まれる藍晶石の包有物が報告されている。一方、珪線石は放射状・柱状・細粒という3つの異なる産状を呈する。そこで本研究では、MB北部とPCSZに産する高圧-超高温グラニュライト中の藍晶石、珪線石の産状をもとに、当地域の温度・圧力経路について考察した。柱状、細粒珪線石についてラマン分光分析を行った結果、細粒珪線石には藍晶石の特徴であるピークがわずかに見られたため、細粒珪線石は藍晶石からの相転移 (Ky → Sil) でできた可能性がある。本研究結果は、MB北部およびPCSZ全体が初期の高圧変成作用とその後の超高温変成作用を被ったモデルと調和的である。