抄録
ケリファイトの微細構造、特にEBSDによって得られた結晶方位の知見を基づいて、ざくろ石のケリファイト化のプロセスを鉄鋼のパーライトの形成過程の考えを参照して解釈を試みた。ざくろ石が不安定化するとき、恐らく最初に斜方輝石がざくろ石―かんらん石境界面上にできるだろう(不均質核形成)。成長する斜方輝石の中でスピネルの核形成と成長が繰り返し起こることで、シンプレクタイト構造が発達する。スピネルと輝石間の方位関係はこの核形成のステージで決まると考えられる。スピネル成長場とかんらん石が斜方輝石化する場の間でMg とSiイオンの交換が粒界拡散を介して継続的に起こる点がパーライトと異なる点である。