抄録
中国北東部では大陸プレート内部火成活動が活発であり、マントル遷移層に停滞する沈み込んだ太平洋スラブとの関わりが示唆されている。高圧実験や電気伝導度などの研究からは、停滞スラブ直上のマントルは水に富んでいる可能性が示唆されているが、その具体的な量は見積もられていない。そこで本研究では、中国北東部・龍湾産のアルカリ玄武岩マグマの生成条件を求めることにより、マグマ生成に必要なマントルの含水量を見積もることを目的とする。
熱力学的制約やREE組成などから求めたマグマ生成時の温度・圧力条件は1300~1310℃、深さ75~100kmであり、Adiabat_1phから計算した含水ソリダスによると、中国北東部下の上部マントルは220~600ppm程度の水を含むことが見積もられた。