活動が活発化している桜島火山では,粗粒火山灰や豆石サイズの小岩片が山麓まで飛散している。噴出直後に採取されたそれらの試料には,通常の軽石や溶岩にはあまり見られない,以下のような特徴的な組織が見られた。(1)含水マグマの減圧脱水によるリキダスの急上昇と冷却によって生じた大きな過冷却条件での石基鉱物の急成長組織。火道内部の極端な低圧高温条件下に長時間置かれたことで結晶度が非常に高い。(2)低封圧下での結晶化による体積減少と脱水の進行によって生じた高い空隙率。(3)高温・高酸化状態での斑晶鉱物の離溶・酸化組織,および周囲のメルトとの反応組織 (4)(1)によって発生した空隙を流れる比較的高温の火山ガスから気相成長した鉱物 (5)比較的低温の火山ガスあるいは熱水から成長したと考えられる鉱物と,豆石様構造。これらの組織は,現在の桜島の火道内部物質の浸透率が高い状態にあることを示唆する。