抄録
海洋地殻~上部マントルが露出したものと考えられているオマーンオフィオライトの構成岩石について、その地震波速度を求め海洋地殻の岩石構造について検討を行った。本研究で求めたオマーンオフィオライトの岩石のP波速度と海洋地殻のP波速度構造と比較すると、枕状溶岩とドレライトのP波速度は海洋地殻第2層から第3層の速度に、斑れい岩類のP波速度は第3層の速度にそれぞれ相当する。
高速拡大域の海洋地殻第2層は溶岩層とシート状岩脈群を主体とすることが知られているが、オマーンオフィオライトの枕状溶岩とドレライトのP波速度計算値は海洋地殻第2層に比べてやや大きい。海洋地殻第2層の速度構造は地殻内の空隙の分布を反映している可能性がある。一方、斑れい岩類は、かんらん石などの有色鉱物の割合の増加に従い速度が上昇する傾向がみられたことから、第3層内のゆるやかなP波速度の上昇は、有色鉱物量比の増加によるものと考えられる。