抄録
伊豆弧北西部に位置する新島は、流紋岩主体の火山で、一部に玄武岩質噴出物を伴っている。今まで、一色(1987)、Koyaguchi (1986)、松井他(2009)などの研究があるが、各種マグマの起源や成因に関しては、必ずしも明瞭にされていない。本研究では、鏡下観察、各種鉱物の化学組成、全岩主化学組成、微量元素組成、およびSr-Nd同位体組成の分析を用い、マグマの起源や生成過程について推定を試みた。その結果、マフィック斑晶鉱物による4タイプに分類される流紋岩は、起源マグマの違い、およびマグマ混合等により説明が可能であることが明らかになった。また玄武岩(および包有物)は、流紋岩類と比較しSr同位体比に違いが見られ、起源物質の違いが示唆された。また、従来から報告のあるトーナル岩、新たに確認された花崗岩、はんれい岩捕獲岩の鉱物組成や、元素・同位体組成の特徴を基に、流紋岩、玄武岩類との比較研究を試みた。