本研究では放射光粉末X線回折リートベルト法よる天然重鉱物の定量分析を行った。組成既知の2~4成分系の重鉱物の混和参照試料をガラスキャピラリ(径0.03mm)に封入し、SPring-8のBL19B2ビームラインで測定を行った。得られた回折データは解析ソフトRIETAN-FPを用いて、リートベルト法による多相解析を行い、各鉱物相の組成比を求め、定量の正確さや精度についての検討を行った。SPring-8の高エネルギー、高輝度、高指向性のX線により、高分解能の回折パターンが得られ、多相試料の解析における信頼度因子(Rwp(%))の値のほとんどは10%以下であった。最後に、この分析手法の実際的な応用例として、多種の鉱物相の集合体である古代土器を対象として、近郊堆積物との比較から産地推定を試みた。