千軒平スカルン鉱床が属す尾平鉱床区はSnを主に採掘し、borosilicateを伴う特徴を持つ。千軒平スカルン鉱床はFeに富み、高温気成鉱床に産するborate:vonseniteの産出が知られている。Vonseniteは黒色を呈した針状~柱状の集合体をなし、pyrrhotite、andraditeと共生して産出するが、一部にmagnetiteと密接に共生するvonseniteに似たhulsiteと(ferri-)ferro-hornblendeが認められる。HulsiteはSn成分を平均9.83wt%、0.16mol%固溶しており、本邦での産出は報告されていない。(Ferri-)Ferro-hornblendeは副成分としてSn成分を最大1.33wt%固溶している。含Sn角閃石の報告例は少ない。