モリブデンは生物にとっての必須栄養素であり、欠乏により健康被害が生じることが知られている。またモリブデンは酸化還元状態に応じて挙動が大きく変化することが知られており、海底堆積物に保存されるモリブデン同位体組成は古海洋酸化還元状態のプロキシとなりうることが知られている。モリブデンの地球表層環境における生物地球化学的挙動は様々な分野で注目されているが、その挙動に影響を及ぼす素過程はわかっていないことが多い。微量元素の水圏環境中での濃度や移動性は、鉱物表面への吸着プロセスによって支配される。本研究はこれまでに報告されるモリブデン酸の酸化物への吸着データを表面錯体モデリング手法であるExtended Triple Layer Model (ETLM)により解析することで吸着素過程を考察する。