抄録
福岡県長垂ペグマタイトのLi-tourmalineの分析を行った。肉眼的な色調から桃色,緑色,水色,青色,藍色などのタイプに分けられ,それらがゾーニングをなすこともある。桃色,水色,藍色タイプを分析したところ,elbaite,fluor-elbaite,rossmaniteがあった。桃色タイプは少量のMnを含む。水色タイプは少量のMnとFeを含む。藍色タイプは,1(apfu)程度のFeと少量のMnとZnを含む。また,Fe含有量が大きいほど格子定数は大きくなる。晶出後期にはFeが枯渇し,Li,Alに富み,同時にNaが減り空位が増す傾向にある。ペグマタイト縁辺部から中心部にかけてのこのようなschorl-elbaite-rossmanite置換はLiペグマタイトの一般的な分化過程である。