抄録
宮崎県大崩花崗岩中にLiペグマタイトの露頭を確認し,我が国初産のhambergite(ハムベルグ石)を見いだした.quartz,K-feldsparを主成分鉱物とし,white mica,少量のtourmaline,microlite,zirconを伴う. hambergiteのEELSおよびEDSスペクトルから,Be, B, O, Fが検出された. Fの定量分析結果はF = 9.7 wt%で,OH/F=1に近い組成を持つと思われる。XRDパターンはPDF01-086-0886によく一致し,格子定数はa = 9.653(1), b = 12.352(2), c = 4.437(1) Åである.tourmalineの化学組成は晶洞部の透明な結晶が,rossmanite成分を1/3程度固溶したelbaite,巨晶部の青色透明結晶がMnを固溶したelbaite,黒色不透明結晶はelbaite組成を固溶した schorlであった。