抄録
月面試料は、地球内外で唯一古くからの露頭採集試料であり、その解明により複雑で未解明な地球の形成過程情報に重要な発展が期待できる。4種類に大別される月試料の海の玄武岩(マントル性)、高地岩石、衝突破砕岩とレゴリス表土において、炭素と希土類元素(REE)が顕著な違いがみられることがわかった。月面試料のREE(微量炭素を含む)の二大ピークの違いにより、(1)内部マントル起源の海の玄武岩(タイプY)、そして(2)地表浅部の溶融(衝突、マグマ衝撃波;タイプC)に明瞭に鉱物相からも分けられることがわかった。月面の玄武岩と破砕岩は、Yタイプ(海)とCタイプ(高地)に二分され、両者の相違が採集場所で区別できる(KREEPy岩石も二分)。高地はすべて溶融タイプC, 表土はタイプYである。また未解明のオレンジガラスと南極月隕石はタイプYとなることがわかった。