鳥海火山御田湿原に保存された火山灰層の観察と年代測定を行い,約100年に一度噴火していることを明らかにした。火山灰はスコリア質火山灰,ブロック状火山灰,変質岩片から構成され,その量比は多様である。量比は噴火様式の多様性を反映しており,変質岩片が多いものは水蒸気噴火やマグマ水蒸気噴火,少ないものはブルカノ式噴火やストロンボリ式噴火による噴出物である。変質岩片のSEM -EDS分析により,変質岩片は珪化変質帯や高度粘土化変質帯からもたらされたことを明らかにした。このような変質帯を生じる山体内部の酸性熱水系と上昇マグマは様々な程度に相互作用し,その結果,噴火様式は多様化している。同じタイプの噴火は一定期間連続して発生し,この3,000年間に,噴火タイプの大きな変化が4回生じている.現在は,熱水系由来火山灰が優勢なマグマ水蒸気噴火が卓越する噴火ステージにある。