抄録
石英のカソードルミネッセンス(CL)像と石英のTi含有量から,石英の形成温度を見積もった.比較したのは八甲田-十和田カルデラ群に属する湯ノ沢カルデラ形成に関与した尾開山凝灰岩の2タイプのマグマ(Hb-typeとBt-type; Kudo et al.,2007)である.Bt-typeのCL像は全体が均質であった.一方,Hb-typeの場合,石英のリムにマフィックマグマの注入を示唆する明るいゾーンが見られた.石英の形成温度を見てみると,このリムは800℃で,それ以前に晶出していたコアは750℃である.一方Bt-typeの均質な石英は低温で一定であった,このことからHb-typeにのみマフィックマグマが注入し,それが噴火の引き金になった.脊梁のカルデラ形成に関与したマグマの温度を比較すると,脊梁のカルデラの方が40-90℃程度高温であることがわかった.